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全館空調のメリット・デメリットは?費用や電気代から導入すべきかを考える

全館空調システムは電気代が高い!というイメージが付きものですが、実際のところどうでしょうか。

最近の全館空調システムはひと昔前の機種より性能が向上しており、導入を勧めるハウスメーカーが増えています。

しかし、設置工事費用が高額であったり、フィルターの維持費、点検費、修理交換費用などのコスト面から購入を迷ってしまうかと思います。

 

そんな全館空調はメリットとデメリットが明確に分かれています。

まずは実際に導入した方の意見から見てみましょう。

実際に導入した方の声を聞いてみました。

※計10名によるインタビュー/住み始めて5年以内の方/いずれも首都圏

良い意見

  • 費用は掛かったが導入して良かった
  • 将来的にヒートショック(※後述)の心配がない
  • 冬場は特に恩恵を感じる
  • LDKに大きな吹き抜けがあるが寒さを感じない
  • 夜中のトイレで寒い思いをしなくて済む
  • 洗濯物が部屋干しできて助かる

悪い意見

  • 季節の変わり目や、快温の日はエアコンが無駄に感じる
  • とにかく乾燥するので加湿器が必須になる
  • フィルターの掃除が面倒(主に掃除をする旦那様の声が多い)
  • 点検費用が馬鹿にならない

このようにメリットもデメリットもあるのが全館空調ですが、コスト面を除けば「トータルで満足している」という方のほうが多いようです。

 

この記事では全館空調システムについての特徴から、メリット・デメリットについて分かりやすく解説するので、導入を検討されている方はじっくり検討してみて下さい。

※PRを含みます。

 

全館空調システムとは?

全館空調システムとは1台の空調設備で家全体を冷暖房できるシステムのことです。

一般的なルームエアコンとは違い、エアコンごとに室外機を設置する必要がなく、家中を一定の温度で保つことができるのが最大の特徴です。

 

ルームエアコンと異なる点

  • 全部屋を一元管理
  • 24時間つけっぱなし
  • 完全に自動運転

 

全館空調システムを導入すると、玄関からトイレ、お風呂場や浴室まで、全ての部屋で一定の温度を保つことができ、寒暖差のない快適な家で過ごすことができます。

また高性能フィルターを使用しているため窓を開けなくても換気ができ、家中クリーンな空気を保てるのも特徴のひとつです。

 

▼ 全館空調を推奨しているハウスメーカーの例

 

やっぱり気になる!全館空調の光熱費は?

基本的に24時間稼働している全館空調システム。

やはり「電気料金が怖い・・」という方が多いようですね。

確かにルームエアコンに比べると高額になりますが、現在の“最新”の全館空調システムはひと昔前のタイプよりもかなり進化しており、電気料金も抑えることが可能となっています。

 

インタビューをお願いした10名の方に、実際にかかった電気料金の平均額を出したので参考にしてみてください。

全館空調の月別光熱費
1月29,240円
2月30,887円
3月22,563円
4月15,758円
5月10,340円
6月9,837円
7月8,790円
8月10,651円
9月15,452円
10月11,215円
11月17,838円
12月22,634円

※料金請求日から算出しているため、使用月は1ヶ月前になります。

月の平均電気代:18,035円

各ご家庭で使い方に差がありますが、月ごとの金額の動き方は同じでした。

各社メーカー担当者は、ルームエアコンと同等かそれ以下の料金になると認識していますが、実際はやや高くなるのが実情のようですね。

 

各ご家庭で使い方の違いもあり、例えば・・

  • オール電化住宅である
  • 1階と2階で全館空調を分割している
  • 24時間つけっぱなしにはしていない
  • 季節の変わり目は全館空調をOFFにしている

など、それぞれ上手に節約しながら全館空調を使用しているようでした。

 

全館空調のつけっぱなしは無駄ではない?

全館空調は24時間つけっぱなしなので、やっぱり光熱費がもったいないと考えている方が多いようです。

しかし、エアコンは稼働時に最も電力を使い、暖まればアイドリング状態になるため何度も付けたり消したりするより、つけっぱなしにしたほうが電力効率が良いと言われています。

 

例えば、真冬にエアコンを切ると部屋の温度はあっという間に10度以下に下がりますが、再び25度まで温めるにはエアコンをフルパワーで稼働させるため電力をとても使用します。

逆に全館空調なら25度と設定しておけば、外が寒くなり部屋の温度が23度に下がったとしても25度に自動調整してまた切れる仕組みになっています。

 

▼こちらの記事では、一般的なルームエアコンをつけっぱなしにした際の電気料金が掲載されています。

 

 

【メリット】なぜ全館空調は人気?選ばれる理由

全館空調の最大のメリットは家中を一定の温度にコントロールできる点ですが、それだけが選ばれる理由ではありません。

なぜ全館空調が人気なのかその理由に迫ってみます。

 

エアコンが無いスッキリした空間になる

参照:住友林業

全館空調は壁にエアコンを取り付けず、天井の吹き出し口から冷暖房の風が出る仕組みです。

そのため壁一面をスッキリ見せることができ、LDKの印象を大きく変えることができます。

 

全館空調は価格が高くて手が出せないがデザイン性は重視したい・・・という方は「天井埋込エアコン」という選択肢もあります。

▼詳しくはコチラの記事を参考にしてください。

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間取りの自由度も高くなる

ルームエアコンの場合、部屋の大きさや間取りの形によって複数台設置します。

長手方向(家を上から見た時、辺が長い方向)に向けてエアコンを設置するのが基本ですが、間取りによっては設置場所がとても難しくなることがあります。

 

しかし、全館空調は「どこにエアコンを取り付けるか」という問題に苦しむことはありません。

冷暖房にとらわれない自由な間取りを作れるため、より理想的な家づくりを進めることができます。

さらに“吹き抜けリビング”や“リビング階段”を取り入れた場合、1・2階の寒暖差がない全館空調はとても有効的です。

通常、暖かい空気は上に逃げ、寒い空気は下に溜まりますが、上下階に温度差がない全館空調はどこにいても一定の温度を保つことができます。

 

全館空調はLDKに広い空間を取りたい方や、複雑な形の間取りにする方に有効な冷暖房施設と言えます。

▼吹き抜け住宅についてはコチラの記事も参考にしてみてください。

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ルームエアコンより室内空気環境が良い

全館空調は高性能フィルターで常時換気しているため、ルームエアコンに比べて室内の空気環境が良いのも特徴です。

今の住宅において常時換気口を取り付けるのは当たり前ですが、高性能フィルターは塵・ホコリ以外にもPM2.5などの微細粒子を確実にキャッチするため、常に室内をクリーンな状態に維持することができます。

イメージ的にはキレイな空気しかない密封空間の状態と言ってもよいでしょう。

花粉症の人が全館空調の家に入るとくしゃみが止まるとも言われていますね。

 

また、全館空調はすべての部屋がダクトで繋がっていますが、常に気流(風)が流れているため、水滴が付きにくく水カビも発生しにくいためカビる可能性が極めて低いのです。

ルームエアコンを運転した時に嫌な臭いを感じた経験があると思いますが、あれがダクト内のカビの臭いです。

全館空調ではあのような嫌な臭いがしないのもメリットですね。

 

冬のトイレも快適!とにかく寒暖差がない!

近年の住宅は断熱性が優れているので部屋を暖めれば快適に過ごすことができますが、廊下やトイレ、脱衣所はとても寒いものです。

お風呂上がりに寒い思いをしながら子供の体を拭いたりと、小さな子どもがいるご家庭なら毎日大変な思いをしているかと思います。

全館空調ならこのような室内の寒暖差によるストレスから開放され、お風呂上がりもゆっくり着替えをできるもメリットです。

また、高齢になると深夜にトイレに行く回数が増えたりするなど年齢とともに身体的な変化が出てきますが、真冬の深夜の廊下も寒暖差なく過ごせるのは大きなメリットと言えます。

 

高齢者の「ヒートショック」による急死のリスクが減る

ヒートショックとは急激な温度変化によって体に大きな負担がかかることを言います。

真冬にリビングを出た廊下・トイレが寒かったり、夏場の2階がサウナのように暑い、なんて経験をされたことがあるかと思います。

 

ヒートショックは冬場に高齢者が起こす事例が多く報告されています。

冬場の入浴時など10度以上の温度差がある場所へ移動すると、血液・血脈が急激に上昇し、失神・心筋梗塞・不整脈・脳梗塞を起こすことで溺れて死亡するケースがほとんどです。

ヒートショックの典型的な流れ

寒い脱衣所で血管が縮み血圧上昇

→ 寒い浴室に入り、さらに血圧上昇

→ 熱い湯に浸かり血管が広がり血圧低下

→ 失神・心筋梗塞などによる溺死

 

入浴中の死亡死者数は溺死以外の死因も含めて年間約19,000人(※厚生労働省による調査)にのぼり、いずれも急激なヒートショックによる急死が大多数を占めると推定されています。

交通事故死者数が年間約4000人ですので、ヒートショックによる死亡者数はその4倍もの数字になっています。

 

ヒートショック事故が増えるのは12月〜2月で寒い脱衣所とお風呂の温度差による影響が大きいことが予測されます。

東京23区における入浴中の死亡者数の推移をグラフにしてみました。

参考東京都23区における入浴中の死亡者数の推移丨東京都福祉保健局

 

一方、北海道ではヒートショックの発生頻度が最も少ないのですが、これは脱衣室に暖房設備を設置している家が多いことが理由と考えられます。

断熱性の高い暖かい家をつくるのはもちろん、寒暖差のない家を目指すことが大切ですね。

全館空調はヒートショックリスクを減らすことができるのもメリットのひとつです。

ハウスメーカーの営業マンも「全館空調=ヒートショック対策」はセールスキーワードとして認知しており、二世帯住宅を希望する施主さまには強くおすすめしています。

 

全館空調システムのデメリット

全館空調の最大の課題は「費用」です。

初期費用からランニングコストまで、ルームエアコンとは桁が異なる金額が必要になります。

もちろん費用の他にも、あまり知られていないデメリットがあるので合わせてご紹介します。

 

【コスト1】初期費用・修理交換費用が高い

35坪の一般住宅に全館空調システムを導入した場合、設置工事費用は200〜250万円近くになります。

費用を35年ローンに含めるなら月額5,000〜6,000円程度アップする計算になります。(※固定金利1%/ボーナス返済なしで推測)

もちろん、大きな家で部屋数も多くなれば設置工事費用は300万円以上することもあります。

普通のルームエアコンなら30〜60万円で済むところなので、やはり初期費用の高さは大きなデメリット言えます。

 

また、10年後の交換費用(※空調換気システム本体の耐用年数が約10年)も50万円ほど必要で、保証期間外に壊れることも想定しなくてはなりません。

※保証期間に関しては各社ハウスメーカーのメンテナンスプログラムを確認する必要があります。

 

全館空調は故障してしまうと全てが止まってしまいますので、壊れた箇所を放置するわけにはいかないため早急な対応が必要になります。

最新機種であれば室外機を2台にし、片方が壊れてもどちらかが動くタイプもありますが、いずれにせよ故障したら高額な修理費用が発生するケースが多いです。

 

【コスト2】メーカーによる有料点検も高い

全館空調メーカーには各社独自の点検表があり、プログラムに従い有料点検が必須になります。

点検費用の目安

  • 点検料 15,000〜25,000円
  • フィルター交換費 10,000円

点検費用の目安:30,000円/年

こちらは手痛い現金での出費です。

ハウスメーカーのメンテナンスプログラムによっては、無償点検期間が設けられていることもあるので、全館空調システムを検討している方は事前に確認しておくとよいでしょう。

 

【手間】換気フィルターの交換が面倒かつ費用もかかる

意外と面倒なのが自分で行うフィルター掃除です。

空調・換気フィルターを2週間に1回掃除することを推奨されています。

フィルター面を掃除機で吸うだけでOKですが、全部屋のフィルターを取り外して掃除するのが面倒になり、1ヶ月に1回しか掃除していないという方が多いようですが、決して安い金額ではないと思います。

フィルター交換費用の目安

  • 空調フィルター交換目安:2年
  • 換気フィルター交換目安:6ヶ月

フィルター交換費用の目安:35,000円/2年

デンソーの交換フィルターの場合、2年パック割引込みで35,000円ほどの費用がかかります。

 

【乾燥】室内が乾燥しやすく大容量加湿器が必須!でも洗濯物の室内干しには有効

全館空調を設置すると常に冷暖房が稼働している状態なので、どうしても室内が乾燥しがちになります。

言い換えればカビにくい家になるというメリットもありますが、冬場は加湿器が必須アイテムです。

LDKを全てまかなえる大容量加湿器を置いている方が多いようです。

逆に乾燥するメリットもあり、洗濯物の部屋干しにはとても有効で雨季でも洗濯物が乾きやすく、忙しい共働き世代の強い味方となっています。

 

【暮らし】音漏れ・光漏れがある

家中どこでも暖かい全館空調は、ドアや仕切りを減らして開放的な空間を設計することができます。

家の空気を循環させるために、部屋のドアには数cmの隙間を設けることもあります。

その反面、家全体を通して生活音が届きやすく、就寝時には廊下の光漏れなどでストレスを感じる方もいるようです。

子供がいれば生活音は仕方ありませんが、なるべく静かに暮らしたい方や、寝る時は真っ暗にして寝たい方に全館空調は不向きかもしれません。

 

【調整】季節の変わり目の温度調整が難しい

常に稼働させる全館空調ですが、季節によっては「外気のほうが快適」という日がありますよね。

季節の変わり目になると、部屋の中のほうが暑い ⇔ 寒いなど、うまく室内温度を調整できないことがあります。

全館空調を切ってしまえばいい訳ですが、再び起動して設定温度に達するまでにとても消費電力を使うため、何度も付けたり消したりすることはオススメできません。

 

そのため、エアコンを必要としない季節の変わり目は、丸1ヶ月ほど全館空調をオフにするという方もいます。

※換気システムは常時運転する必要があります。

中には4〜5月は全館空調を使わず過ごすという方もいらっしゃいました。

全館空調を使わない期間は、扇風機や暖房器具を使うなど、うまく季節家電を組み合わせて使うのも有効ですね。

 

注意点:全館空調は室内の喫煙が厳禁

全館空調の家でタバコは厳禁です。

全部屋がダクトで繋がっている全館空調は、どこかの部屋でタバコを吸ってしまうと家中にタバコの臭いが回ってしまいます。

どの部屋に居ても夕食で何を作っているのかが分かるほど匂いが循環するほどですから。

また、タバコの煙がダクト内に入ると臭いが取れなくなってしまうので、例えば「どうしても書斎ではタバコが吸いたい」という場合、その部屋だけ全館空調から外して通常のエアコンを設置するなどの工夫が必要になります。

 

さいごに:全館空調を検討しているなら

全館空調がどのようなものがお分かり頂けましたでしょうか。

「快適性を取るか、費用を取るか」

で悩んでしまう方が多いかと思います。

全館空調を推奨するハウスメーカー、工務店は数多くあり、メーカーによっては100万円以下で購入できたり、無料で設置できる大規模キャンペーンなどを行なっている会社もあります。

費用が気になる方は、複数社から見積もりを取って比較してみてください。

 

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