都市計画法のひとつとして定められている「用途地域」。これを知らずに土地を購入してしまうと将来大変なことになるかもしれません。
用途地域とは、住環境の混在を防ぐために定められたもので、大きく分けて商業・工業・住居などの土地利用を分類しています。
今現在は低層住宅地が立ち並ぶ素晴らしい生活環境だとしても、用途地域の種別によっては今後大きな建物が建つ可能性を否定できないからです。
日照、景観の悪さ、人が集まる建物(ショッピングモールなど)が建つことで、騒音や交通量増加による安全面の問題も将来、暮らしにくくなってしまう可能性があります。
そうならないよう「用途地域」の種類については必ず事前にチェックしておきましょう。
用途地域は各行政のHPで誰でも簡単に調べることができます。
検索:用途地域+(市区町村名)
このようなマップでエリアごとに用途地域の色分けがされています。
この記事では用途地域の種類についてと、用途地域を知っておくべき理由について解説したいと思います。
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用途地域によって住環境は大きく変わる
用途地域は全部で12種類あり、そのうち住居を立てられるのは11種類。その中でも現実的に住みやすい地域として挙げられる7種類の用途地域について解説します。
居住環境によって良い点、悪い点があるので、理想の家を想像しながら用途地域を判断していくことが大切です。
例えば、大規模商業施設がある地域は利便性が高いですが、子供にとっては悪影響がある場合もあります。逆に閑静な住宅街で快適な住環境を求めた場合、買い物や病院施設などから離れることから生活面で不便な点がある場合もあります。
第一種低層住居専用地域
住環境
- 住環境としては最も良好なエリア
- 診療所、小中学校、小規模な店舗併用住宅なら建築可能

第二種低層住居専用地域
住環境
- 低層住宅の良好なエリア
- 小中学校のほか、コンビニなど150㎡以下の店舗が建てられる

第一種中高層住居専用地域
住環境
- 3階建て以上の中高層住宅が建てられるエリア
- 大学、病院など500㎡以下の施設、店舗などが建てられる

第二種中高層住居専用地域
住環境
- 1,500㎡までの大型店舗が建てられるエリア
- 病院、スーパーなどの利便施設の建設はこの大きさを超えて建設できる

第一種住居地域
住環境
- 住居の環境を保護するための地域
- 3,000㎡までの中規模店舗、事務所・ホテルなどの建築ができる

第二種住居地域
住環境
- 10,000平方メートル以下の店舗、事務所、パチンコ、カラオケ、ホテルの他、環境に影響の少ない小規模工場の建設ができる

準住居地域
住環境
- 道路の沿道にあるような店舗、映画館、倉庫、小規模工場などの建設ができる

用途地域は変わることも?
市区町村によっては将来的に用途地域の種類が変わる可能性もあります。
道路計画や、将来的な都市ビジョンに基づくことが理由のひとつですが、例えば東京都の都市整備局HPを見てみると、目標とする市街地像を実現するために都市計画法等の改正の内容を反映しつつ、用途地域等の見直しが進められています。
このような情報は、ハウスメーカー、住宅ビルダー、工務店の営業マンであれば、担当エリアの将来的な情報を把握していると思うので確認してみるとよいでしょう。
さいごに
土地の購入は現状の土地状況で判断するのでなく、そのエリアの「用途地域」を知っておくことが大切です。
陽の当たりや騒音など住環境の問題が少ない閑静な住宅街に住みたい人もいれば、スーパー、ショッピングモールなどが立ち並ぶ商業地区で利便性の高い生活を送りたい方もいます。
居住環境として選ぶ条件は人それぞれ異なりますが、いずれにせよ大切なのが用途地域を確認する作業です。
さらに、用途地域によって大きく変わってくるのが「建ぺい率」です。閑静な住宅街になればなるほど、建ぺい率は低くなり土地に対して建物を建てられる割合は低くなります。
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理想の家を建てるには、希望の条件に合った立地であるかどうかを知っておくことが大前提です。