注文住宅と聞けば2~3階建てを思い浮かべる人が多いでしょう。ですが最近では平屋を希望する方も増えています。
平屋は階段室を作らなくていいので悠々と設計ができると思いがちですが、1フロアという限られたフィールドで間取りを作成するため、実は2階建てよりもプランニングの難易度が高いです。
本記事では注文住宅で平屋を選ぶ方に向けて、間取り作成の注意点やポイントを紹介します。
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まず家を平屋にする“理由”を整理しよう
本記事を進行する前に、そもそも平屋を新築する理由について立ち返ってください。
皆さんが平屋を希望する理由は、以下の3つのうちいずれかでしょう。
- 予算が少ない
- 広い土地がある
- 平屋に憧れている
予算が少ないというのはそのままですね。
同じ建築面積で同じ仕様の平屋と2階建てを建てるなら、階数が少ない平屋の方が安く済むため、コストを優先した結果として平屋を選ぶのです。
そして日本の注文住宅に2階建て以上が多いのは、土地の狭さが関係しています。日本では狭い土地に家を建てるケースが多いので、少しでもスペースを有効活用しようと建物を上にして空間を広げるのが当たり前です。海外で2階建て一軒家が少ないのは、土地が広いことが1つの要因です。
日本で平屋を建てる場合、基本的には広い土地を持っていることが前提条件と言えます。
また「階段を作りたくない」「家族とのコミュニケーションを取りやすくしたい」「デザインに憧れている」「シンプルに暮らしたい」など、好みによって平屋を選ぶこともあります。確かに階段が無ければ安全性も高いですし、階の移動が無いとコミュニケーションも取りやすいでしょう。
平屋を欲しいという方の理由はそれぞれありますが、最終的には「老後は平屋に住みたい」という方も多いかと思います。
前置きが長くなりましたが、上記の3つの内「資金面の都合」から平屋を選んでいる方には本記事は参考になりません。
後述するのは全て「平屋の間取りで気を付けるべきポイント」であり、平屋を安く新築する方法ではありません。
別の記事で注文住宅をローコストで建てる方法をまとめているので、そちらをご覧いただけると幸いです。
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平屋の間取りプランで注意すべき5つのポイント
平屋の間取りで気を付けるべきポイントを5つ紹介します。
ポイント① 間取り中心部の採光・通風に注意
平屋の間取りを考えるなら、外界からの奥行きの深さに注意しましょう。
昔ながらの古民家でよくあるのが、家の中央に行くほど室内が暗くなるということです。
また採光だけでなく通風も悪いせいで、カビっぽくなる事もあり得ます。
外部空間から離れたスペースの通風・採光に関しては、パティオ(中庭)や天窓を設けるなどして改善できます。もしくはそもそも居室にしない等、間取りや仕様を工夫しましょう。
ポイント➁ メインの居室を基点に間取りを決める
日当たりを良くしたい居室を南側へ置き、そこを基点に間取りを考えます。
平屋の設計では方角を失敗しないようにしましょう。ただでさえ建物の高さが無いので、部屋ごとの日当たりに関しては慎重に考えてください。
LDKなどのメインの生活スペースとなる居室は、南側方面へ寄せるのがおすすめです。最初にLDKの場所を決めて、そこを基点に他の部屋の配置を決めていくと間取りが決めやすいでしょう。
ただ真南は日当たりが良すぎるので、少しずらした東南方向に置くのがベストです。
間取りの方角に関して、住宅では”鬼門”という風水にまつわる決め方もあります。詳しくはこちらの記事で開設しています。
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ポイント③ 生活導線に優れた間取りにする
平屋のメリットのひとつは生活導線が良い事です。階段の移動が無いので、家事導線がラクになるのが平屋の大きな魅力だと言えます。
1階の面積は2階建てに比べて広くなるのが一般的ですので、家中を回遊しやすい動線を作り部屋中を動き回せるような間取り作りが大切です。
また、平屋はベランダが無いために、庭に洗濯物を干す方もいらっしゃいます。
脱衣所から庭までの導線もスムーズに作り、シンプルで使いやすい導線を確保しましょう。
ポイント④ 見晴らしのために庭は作るべき
土地いっぱいに家屋を建築したくなる気持ちは分かりますが、土地に余裕があるなら庭を広くとりましょう。
庭を広くとれば敷地から建物がセットバックし、採光と見晴らしの両方が良くなります。
例えば正方形で建てようとしていた住居を、長方形にして敷地の境界からセットバックしたとします。
庭によって隣地とのスペースが広がることで、見晴らしも日当たりも良好になります。
平屋は上に階が無いので1階からの見晴らしが全てです。解放感を出すためにも広い庭を検討しましょう。
ポイント⑤ 内外に工夫をしてパーソナルスペースを確保する
平屋は全ての居室が同じフロアに集約しています。2階建てであればLDKと寝室を別の階にして分離出来ますが、平屋の場合そうはいきません。
LDKと他の居室を分けるなら、廊下や居室の配置を工夫する必要があります。
夫婦の主寝室をLDKに面して作り、子供の部屋は廊下の先に作るなどの措置をとりましょう。LDKと廊下の境目にも扉があれば計2枚の扉で仕切られているので、ストレスを感じることがなくなります。
また外部からの視線もあるので、人通りの多い道路に面した居室は少しセットバックさせたり、開口部を小さくしたりしましょう。また外構計画として目隠しのパーテーションを設置するのも良いですね。
デザイン面で考慮すべき5つのポイント
前章で紹介したのは間取りプランのポイントです。
本章では、平屋のデザイン性を高めるために考慮すべきポイントを紹介します。
ポイント① 階高は高くした方がスタイリッシュに見える
階高とは、各階の高さのことを言います。
2階建ての住居の場合は階高2.4mほどですが、平屋の場合は階高をもっと高くして開放的な大空間にしましょう。
そもそも2階建てで階高がその程度しか取れないのは、土地ごとに定められた建築物の高さ制限によるものです。
平屋には一般的な家の高さほど制限が掛からないので、4mほどにしても何も問題ありません。
2.5mほどでのっぺりした住宅よりも、4mほどの住宅の方がスタイリッシュに見えます。
ポイント➁ 大きく見える屋根にする
屋根には様々な種類がありますが、平屋なら切妻・片流れ・陸屋根の3つがおすすめです。
寄棟だと壁が見える面積が減ってしまい、階高を高くしても建物が小さく見えてしまいます。
屋根形状の種類とそれぞれの立面的な見え方を、以下画像で紹介します。
切妻や片流れでは見える壁の範囲が広いので、家が大きくスラっとして見えます。
一方、寄棟屋根は屋根が前面に見えてしまうので、同じ高さでも家が少し小さく見えるのです。
また陸屋根も大きく見えておすすめなのですが、勾配(傾き)が付いていない分ゴミが乗ったり水はけが悪かったりと、特殊なデメリットがあるので覚えておきましょう。
平屋の屋根は切妻か片流れ、もしくは陸屋根がおすすめです。
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ポイント③ シンプルな色合いのほうがおすすめ
平屋の外壁などはシンプルに単色でデザインしましょう。
2階建ては高さがあるので2色以上の色を組み合わせても体裁が整いますが、平屋で同じことをしてもあまり良く見えません。
もちろん組み合わせによってはオシャレに出来るのですが、シンプルなデザインが多い日本の住宅街では浮いてしまうリスクが高いです。
日本には地域によって景観保護の制度が設けられています。2009年には漫画家楳図かずお氏の新居のデザインが奇抜過ぎるとして、近隣住民が訴訟を起こしました。
上述したのは極端な例ですが、それほど日本人は景観を損なうことに対して敏感に反応します。転居後の近隣住民との関係を考えるなら、平屋なりのシンプルなカッコよさを追求しましょう。
ポイント④ 窓が大きいと開放的で明るくなる
平屋住宅の窓は大きいサイズにして、開放的にする事をおすすめします。
天井の高さを上げるなら窓の高さも上げないと、外から見た時に固い印象になってしまうのです。
採光の問題も解決できますし、平屋の外見を良くしたいなら窓の大きさは必要不可欠です。
ただ窓が大きいと、その分防犯対策にも気を遣います。防犯を優先するか開放感を優先するかは、しっかりと話し合って決めましょう。
ポイント⑤ 庭によって機能性と見晴らしの2つが良くなる
平屋は上に階が無い分、1階からの見晴らしが全てだと前章で説明しました。造園計画は見晴らしの良さを左右するので綿密に練りましょう。
砂利を撒くだけでは味気ないので、ウッドデッキを施工したり芝生を敷いたり植栽の有無など細かく設定します。
ウッドデッキは洗濯物を干すスペースとして活用できたり、植栽によって外部の視線をカットできたりと、造園計画は見晴らしを良くする以外にも効果があります。
広さによって300~500万円ほど費用がかかりますが、こだわるべき部分のひとつです。
利便性抜群の平屋で快適に暮らそう!
平屋の間取りを決める際のポイントをまとめましたが、そもそも住宅のプランニングは素人には難しいです。
建築基準法や構造計算によって実現できないことも沢山あるので、やはりプロに間取りを考えてもらうことが一番でしょう。
建築士にも良し悪しがあり、平屋の設計を得意としている人もいればそうでない人もいます。
多くのハウスメーカーや工務店にプランニングと見積もりを依頼して、一番自分の理想を叶えてくれるところを選ぶようにしましょう。
複数のハウスメーカー・工務店にプランニングと見積もりを無料で一括依頼できるタウンライフでは、平屋に限った間取りプランを作ってもらうことも加納です。
平屋という限定された環境下で、熟練の建築士たちがどんなプランニングをするのか是非比較してみて下さい。
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