近年、空き家問題がクローズアップされていますが、両親の家、親族の家で「実は空き家がある」という方は意外と多いようです。
高齢化社会に伴い、空き家が増加していることがその要因です。
しかも、家は資産ですが、空き家は負の遺産になることを認識していない人が多いようで、放置し続けることで様々な問題が起きています。
バブル時代に購入したリゾート地の別荘・マンションオーナーが、タダ同然の価格で売りに出していることはニュースなどでご存知方もいるでしょう。
資産活用に詳しいオーナーは、お金を払ってでもその別荘を売りたいと考えているのです。
なぜでしょう。
それは、別荘を持つことで維持管理費や税金などの無駄な費用が出てしまうからです。
放置した期間だけ無駄なお金が出ていくので、空き家の問題は絶対に先送りしてはなりません。

この記事では、そんな空き家を持つことで起きる問題点と危険性についてご紹介します。
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空き家を所有する70%の人が放置している現状
空き家問題の多くは親の家の相続によるものです。
- 両親が死別してしまった
- 老人ホームに入居した
- 老朽化したがリフォーム資金がない
他にも、転勤で地方への引っ越しなど、予想外のことによって空き家となってしまうケースが見られます。
では、なぜその家をそのままにしてしまうのでしょうか。
国土交通省「空家実態調査」によると、以下の理由によって空き家を放置しているようです。
空き家を放置する理由
- 物置として使っているから
- 100万円以上の解体費用が出せないから
- 特に困っていないから
- 将来、リフォームして使うかもしれないから
- 捨てられないものがあるから
こうした理由から、空き家を放置しているのが実態で、およそ70%の人が「とくに何もしていない(※)」と回答しています。 (※)価値総合研究所「空き家所有者アンケート」

あくまでも空き家を放置している現状の理由付けであって、問題を先送りしているだけに過ぎません。
賢い方なら絶対に放置はしないでしょう。
なぜなら放置するのはデメリットしかないからです。
空き家を放置すると起こる問題点
- 草木の落ち葉、雑草が放置され近所迷惑に
- ゴミを不法投棄されたり、地域の外観を乱すことも
- 火事や犯罪の温床になる可能性がある
など、地域環境への問題が挙げられます。
さらに最も大きなデメリットと言えるのが「お金の問題」でしょう。
空き家を所有することで、税金の支払いや維持管理費が必須になります。
空き家は負の遺産!年間にかかる税金・維持費用は?
では、年間どれだけの維持コストが掛かるのか見てみましょう。
▶税金[固定資産税・都市計画税]
空き家は毎年1月1日時点で所有している不動産に対し、税金の支払い義務があります。
- 固定資産税
- 都市計画税
4〜6月に納付通知書が届き、年一括払いか、4期に分けて納付します。
固定資産税は土地と建物の「評価額」に対して課せられる税金。都市計画税は市街化区域内に土地・建物を所有している人が納める税金です。

これら税金にはどちらも減税措置がありますが、土地に住宅が立っていることが条件です。
すでに解体している場合は減税措置が認められないため、より高額な税金を支払うことになります。
税金は「土地・建物」に分けて計算しますが、空き家の場合は経年していることがほとんどですので、土地のみに減税措置が適用されるのが通常です。
また、200㎡までの住宅であれば「住宅用地の特例」という、さらなる優遇減税措置があります。
固定資産税についてはこちらの記事で詳しく紹介しているので参考にしてください。
一般的な税額を簡単に算出すると以下のような額になります。

固定資産税は10~15万円程度。
都市計画税は3~4万円程度。
毎年、この金額を払い続けることになります。
▶維持管理費
無視してならないのが維持管理費です。
- 庭木の剪定・・・1回 5〜10万円 ✕ 年2回(地域や庭の広さによって異なる)
- 火災保険・・・年5万円
- 空き家管理巡回サービス・・・年間5~12万円程度
年間で15~20万円ほど維持管理費が掛かるので、そのまま10年放置すれば数100万円の損失になります。
支払えないからと言って空き家を放置してしまうと、さらに大変なことになりかねないので、次の章で詳しく説明します。
「特定空き家」に認定されると強制撤去!費用は所有者に請求
空き家を放置して最もマズいパターンが「特定空き家」として自治体に認定されることです。
2015年の税制改正により「空家等対策の推進に関する特別措置法」が決まり、著しく外観を損ねる空き家に対し、所有者に助言や指導勧告を行い、一定の猶予期間に改善がみられずに年をまたぐと「住宅用地の特例」から外され減税措置が受けられなくなります。


「特定空き家」に認定され、さらに放置を続けると大問題が起きます。
- 50万円以下の過料
- 強制撤去(行政代執行)
- 解体費用の請求(少なくとも100万円以上)
ちなみに国土交通省によると、2018年の時点で全国で1万件以上が指導勧告を受け、強制撤去されたのは29例です。 参考:国土交通省 空き家対策について

なによりも事故・事件が起きてしまうのが最もリスクです。
空き家をどうしたらいいか変わらない方は、売却を含めてプロに相談してみるのが良いでしょう。
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空き家の価値は下がる一方!早めの判断が必要です
家の価値は年々下がり、20年で建物の価値はゼロになるのが一般的です。
空家を放置すればするほど状況は悪くなる一方。
かと言って解体すれば100万円以上の解体費用がかかりますし、固定資産税の減税を受けることも出来なくなります。
もし土地+建物の売却を検討しているなら、空き家でも適切に管理することで、解体を避けることができます。
特に木材住宅の場合、木造の躯体が生きていればリノベーションして活用することも可能です。
逆に空き家を放置し続けて、湿気による木材腐食や、害虫の発生によって建物が傷んでしまうとどうしようもなく、選択肢は解体か大規模リノベーションになってしまいます。
空き家でも定期的に維持管理することはとても重要です。

長期間放置して劣化状況のひどい空き家より、適切に管理された空き家のほうが売却額は高額になります。
また、人によっては空き家を手放せない事情もあると思いますが、できる限り空き家の価値を下げないよう維持管理することが大切です。
空き家に関する自治体の「補助金・助成金制度」を知ろう
空き家は国内全体の問題なので、空き家の活用を促進するために自治体ごとに補助金や助成金制度を設けているケースがあります。
補助金・助成金はどちらも返済不要のお金です。
主に解体工事の一部を補助していもらえるケースが多く、およそ50〜200万円程度の補助を受けることが可能です。
地域によっては改修工事に対する助成金制度もあります。
給付を受けるための主な条件はこちら
- 一定期間住民であること
- 税金の滞納がないこと など
この金額や条件は、各市区町村によって大きく異なるので、対象の自治体ホームページで確認しておくと安心です。
まとめ:負の遺産とならない空き家活用について
空き家の活用方法は「売却」か「賃貸」が理想的です。
後者の場合は建物が良い状態であることが条件。
以下の記事でも詳しく紹介していますが、不動産の活用方法は多岐に渡ります。
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